ASMRは「Autonomous Sensory Meridian Response」の略称で、直訳すると「自律感覚絶頂反応」という意味です。
日本では主に「エー・エス・エム・アール」と呼んでいます。(一部では「アズマー」「アサムラ」「アサマー」「アスマー」という呼ばれているそうです。)
ASMRを一言で言えば「人がある音・動作を見たり聞いたりしたときに感じる、心地よいゾクゾク感」のことです。
最近だとyoutubeやニコニコなどに数多くの配信・動画が並ぶほど、数多くの人を魅了しており、日ごろからASMRを聞いている方もいらっしゃるでしょう。
今回はASMRの様々なことを紹介していきます。
- 起源・語源は?
- 日本ではどんな歴史をたどったのか
- ASMRを聞くことによる効果
- 音の種類・オススメ動画
- ASMRを楽しむ方法
ASMRの起源・語源は?
ASMRと名付けたのは2010年2月19日、ニューヨーク在住サザン・メイン大学出身の「 Jennifer Allen(ジェニファー・アレン)」という方です。
彼女が初めてASMRを体験したのは19歳の時。
その体験について当時はネット検索しても引っかかることなく「脳に腫瘍があるかもしれない」「自分だけおかしいのかもしれない」と思い不安になったことがあるそうです。
しかし、ある日スレッドを覗くと、自分を同じ体験をした人がいるとわかり「この感覚は自分だけじゃない」と彼女は安心しました。
この心地よい感覚は自分だけじゃないと勇気づけられた彼女は、Facebook上に「くすぐったいような感じ」がする感覚について語り合う場所を立ち上げることにします。
このときに彼女はゾクゾク感について名称を定める必要があると考え「ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)」という言葉を生み出しました。
ちなみに、アレンさんはそれぞれの単語について、以下の意味合いを持たせています。
- Autonomous(自律):個人個人でそれぞれ違うこと、本人がコントロールできる場合もあることの意味
- Meridian(絶頂):上り詰めるような感覚の意味
- Sensory(感覚):とてもに感覚的な体験である意味
- Response(反応)常に気持ちがいい状態にあるわけじゃなく、何かに反応して起こる意味
少し堅苦しい感じですが、コミュニティの存命と世間の関心を広めるために、あえて臨床的な側面を意識したからだそうです。
日本で流行るまでの歴史
日本で本格的な流行は「2019年上半期JC・JK流行語大賞」のコトバ部門で1位に入賞したことから始まります。
ASMR発祥以前
ASMRという言葉がでてくる前の2000年代後半あたりでは、似たようなジャンルとして「※音フェチ」ということばで一定層から認識されていたそうです。
しかし現在よりも知名度はなく、本当にコアな人向けのジャンルでした。
※人によっては「ASMR」と「音フェチ」は別物と考える方がいます。
- ASMR:睡眠やリラックス系
- 音フェチ:快楽・快感系
しかし、現在の日本ではほぼ同じ意味で使われていますね。
ASMR発祥以後
- 2013年頃:「弓熟 ユキノ」さんが日本人としては初めて顔出しのASMR チャンネルを開設
- 2015年:今やASMRで超有名の「はとむぎ」さんや「まこと。」さんのようなASMR投稿者(ASMRIST(アスマーリスト))が活動を開始する。
- 2015年12月12日:アメーバニュースにてASMRが言及される(音でオーガズム!? 聞いて快感を感じる「ASMR」って一体何だ)
- 2018年2月15日:「アウト×デラックス」で黒木渚さんがASMRを紹介するなど、テレビ番組にも登場する。
- 2019年12月:ASMRが「2019年上半期JC・JK流行語大賞」のコトバ部門で1位に入賞、日経トレンディ発表の「2020年ヒット予測」で8位となる
- 2019年3月:オトバンクとquantumがASMRを扱うオーディオレーベル「SOUNDS GOOD」を設立
やっぱり、メディアに紹介されるのは強いですね。
参考元
どんな音の種類があるの?
ASMRといってもたくさんの視覚的・聴覚的刺激のものが存在します。
聞いて快楽が得られるASMRを体験した方は多いと思いますが、実は見ることで快楽が生じるものも存在するんです。
私も「見るだけでゾクゾクするわけだろう」と思いましたが、脳に直撃するほど心地よい感覚になるものもありましたよ。
また、以下で紹介するASMRの種類はほんの一握りにすぎません。
あなたのお気に入りを是非とも探してみましょう。
視覚的な刺激の一例
- 肌に触れる仕草
- 人の表情
- 雰囲気
- ボディーランゲージ(身体の動き)
- 暖炉の火
- 木が揺れ動く状態
- 視力検査
- 光の動き(ライトムーブメント)
- ケーキ作り
- 化粧 など
聴覚的な刺激の一例
- 耳かき音(綿棒、耳かき、梵天、指かき)
- 耳舐め音
- 咀嚼音(クッキー、せんべい、果物など)
- 切断音(石鹸、野菜、砂ねんどなど)
- スライム音(手でこねくり回す)
- タップ音(キーボード、机、頭など)
- 美容室の音(ハサミ、耳毛剃り、タオルがこすれる音)
- オノマトペ(「カタカタ」「ペタペタ」など耳元で同じ言葉を囁く)
- 囁き音(セリフとしては「自分を認めてくれる」「ののしってくれる」などがある)
- 木々の葉がこすれる音
- 川のせせらぎ など
人によって好きな音は違う
食べ物の好みのように、ASMRの好みも人によって全く違います。
例えば、咀嚼音が一番いい例です。
ある人は「シャクシャク音」「カリカリ音」がたまらないといいますが、一方では「人が食べている音そのものが気持ちが悪い」というかたもいらっしゃいます。
他にも、日本で一番メジャーな「耳かき音」が苦手だけど、「布がこすれる音」は気持ちいいから大丈夫という人もいます。
そのため、たった一つの音だけを聞いて「自分は向いてないな」と思うのはもったいないです。
多くのASMRを体験して自分に合ったものを、探してみるのも面白いですよ。
好み種類を見つけることができれば、それ以降は心地の良い日々を過ごすことができます。
遊び感覚でyoutubeなどの動画を回ってみることがオススメです。
ちなみに、個人的な意見ですが、私が特に好きなものは以下通り
- 視覚系:「化粧(ブラシの動き)」と「ライトムーブメント」
- 聴覚系:「耳かき」と「オノマトペ」
ASMRの効果とは
あの気持ちがいい感覚はあなたにどんな効果をもたらしてくれるのでしょうか?
この項目ではASMRの効果を掘り下げていきます。
決定的な科学的な証明はまだない
科学的にゾクゾク感やリラックス状態になることは証明されていません。
確かに、以下のようにメリットを上げている研究もあります。
- リラックスさせる効果があるという見方のより客観的な証拠が得られた
- ASMRの体験者は知的好奇心が強く、想像力に富み、芸術や美に対する評価が高い
しかし、一方の意見ではそれらは「プラシーボ効果」(思い込み)によるものではないかともいわれています。
ただ、ASMRの研究についてはまだ始まったばかりであり、まだ結論を出すのは早いです。
それでも、多くの人が心地よさを体験し「リラックス」「快眠」「快感」を得ていることには変わりありません。
科学的な根拠はひとまず置いといて、心地よさに集中する方がいいでしょう。
参考元
「"ASMR動画"を楽しめる人と楽しめない人の違いとは? - ナゾロジー」
健康面への影響とは
先ほど少しだけ紹介しましたが、多くの人が語るASMRのメリットとして、以下のことがあげられます。
- ストレスを和らげる
- よりよく眠ることができる
私の場合ですと、夜に仕事や生活の不安が頭がめぐり続け、なかなか寝付けない日がありました。
そんな中、小さい頃に耳かきをしてもらうことが好きだった私は、ある日興味本位で「耳かき音声」を聞いてみることにします。
すると、気持ちがいい音声に集中することによって不安感を感じることなく、いわゆる「寝落ち」のように眠ることができたんです。
私の体験以外にも、多忙な日々を過ごしている大物Vtuber「月ノ美兎」さんも寝る時に他のことを考えてしまい、寝られない日があったとはなしています。
しかし、「【寝落ちASMR】悪魔娘が最高に癒すのでものすごく眠れる(耳かき・囁き・マッサージ・泡オイル)」を聞いた日からよく眠れるようになったそうです。
参考動画⇩
このことから、ASMRは快眠のためにはうってつけのジャンルといえるのではないでしょうか。
参考元
「ASMR: 'Brain Orgasm' Videos May Have Mental and Physical Health Benefits」
集中力アップも望める
こちらは主に環境音のASMRで効果があるといわれていることです。
ある程度の大きさの音はキーボード音、文字を書くときの音、服のこすれる音など、自分の周囲で生じた音が環境音にかき消されて気にならなくなるといわれています。
ちなみにこの効果は『音のマスキング効果』という名称です。
ただ「音量」には注意してください。
1人作業の時は約35デシベル、誰かと話し合うときは約40~50デシベルいいといわれています。(1人作業でも40デシベルはありという意見もあり)
参考として30~50デシベルの目安は以下の通りです。
スターバックスなどのコーヒー店や喫茶店、図書館へ勉強のためにわざわざ行かなくとも、環境音のASMRであれば自宅で手軽に集中力を上げられます。
「移動時間を勉強に変えられる」+「効率の良い学習ができる」のでやらない手はありませんね。
youtubeのオススメASMR動画
こちらでは数あるASMRの配信・動画でも特に人気・おすすめのものを掲載していきます。
私が紹介できるものはほんの一部ではありますが、あなたの好みにあったものがあれば幸いです。
見つからなかったときは、youtube等の動画投稿・配信サイトで検索してみてください。
最高音質のダミーヘッド「KU100」を使う配信者
100万円以上もする高級ダミーヘッド「KU100」。
ASMRの熟練者が使えば威力はすさまじく、脳が痺れっぱなしになるマイクです。
以下の記事では、「KU100」を使いこなすオススメのVtuberたちを紹介しています。
また、音のジャンルは何でもありますよ。
- 耳かき
- 耳舐め
- 耳のマッサージ
- 炭酸シャンプー
- オノマトペ
- 咀嚼音
- 励ましてもらえる囁き など
⇩最高の音質と快楽が欲しい方はチェックしないと損です。
美容室の音が大好きな方は必見
1000万再生を超える大人気な動画です。
- くしで髪をすくような音
- ハサミの「チョキチョキ」音
- 霧吹きの音
- 髭剃りの電動音
- 指のタップ音
美容室にいけばいつでも聞くことができる音ですが、この投稿者の手にかかればゾクゾク感がとまらない音に変化します。
投稿者はこの動画の他にも多くの、気持ちがいい動画を投稿しています。
そちらもぜひどうぞ。
オノマトペはささやきが好きな人ならたまらない
「カタカタ」「ペタペタ」「ヒタヒタ」など同じ言葉を繰り返しているだけなのに、心地が良くなる不思議なジャンルです。
もともと囁き系が好きな方なら、きっとお気に入りの一つになるはずですよ。
耳に息を吹きかけられる人が苦手な方でも、「言葉の発声」だけなら気持ちよくなれるかもしれません。
一度試してみる価値はありますよ。
高速オノマトペ(息の拭きかけが苦手な方は0:25~から視聴ください)
⇩日本のASMRを代表する1人「はとむぎ」さんのオノマトペ
物をカット・削る動画は見るのも気持ちがいい
料理をするなら、包丁で野菜を切る音は毎日のように聞くはずなのですが「ASMR」ではこれまたいい音になるんですよ。
咀嚼音とはまた違う「さっぱりとしたサクサク音」は胸がスカッとするような爽快感があります(個人談)。
また、物を切るほかにも「削る音」もオススメです。
特に石鹸を彫刻刀やナイフで削る音はたまりません。
ナイフの刃が石鹸に触れる「カッ」という音や刃が石鹸を滑る「スーーッ」という音に病みつきになってしまいます。
また、これらは聴覚だけでなく視覚的にも気持ちよくなれる気がします。
夜の睡眠のほかにも、ちょっとした休憩の際にみるのもいいかもしれません。
⇩アロエのカット
⇩ 石鹸を削る音その1
⇩ 石鹸を削る音その2
スライムをいじる音
柔らかいスライムをいじったり、包まれているような感覚になるASMRです。
スライムといえば、おもちゃ屋で売っている緑色液体を思い出す方もいるでしょう。
しかし、ASMR用のスライムはそれとは一味違います。
スライムの中に小さな固形物が入っており、それを一度握ってみると聞いたことのない「ゴリゴリ」「ジュワジュワ」のような音になります。
つたない言葉で申し訳ないのですが、言い表しにくい音なのでどのように話したらいいのかわからないんです。
そんな不思議な音に夢中になる方も多くいますので、この不可思議な音を体験したい方にもおすすめですよ。
⇩ゴリゴリスライム
⇩ジュワジュワスライム
⇩スライムが耳を包み込む!?
集中したいあなたに
勉強や在宅業務などで集中力を上げたい方にピッタリなのが環境音です。
こちらも種類がたくさんあります。
- 春の川のせせらぎ
- 夏の田舎の実家
- 冬の暖炉の前
- 温泉の音
- ジャズが流れるカフェの音 など
もちろん音のクオリティも高いので、まるで動画内の世界に入ったかのような感覚になるます。
しかし、作業用のBGMとして素晴らしい動画が多すぎるため、作業をする前にどの音声にするか悩み時間が過ぎてしまうこともしばしば。
作業を行う直前に決めるのではなく、前日の夜に決めてしまうほうがいいかもしれません。
それでも、どうしても決められない方のためにオススメの動画を紹介します。
⇩せせらぎの音,風の音,鳥の声
⇩田舎の実家
⇩海の見える誰もいない部屋
⇩夏の夕暮れ(ひぐらしの声など)
⇩暖炉の前に座る
⇩温泉旅館でリラックス
⇩おしゃれなカフェで優雅なひと時を
ASMRを楽しむための方法
こちらでは「楽しむために何を準備したらいいのかわからない初心者」から「もっと気持ちよくなりたい上級者」までの必要なアイテムを紹介します。
カナル型イヤホンだけは用意しよう
まずは最低限でもカナル型のイヤホン1つを用意しましょう。
スピーカー、ヘッドホン、インナーイヤーよりも音がダイレクトに耳に届くため、一番リアルな音を聞くことができます。
多分、今あなたの頭に思い浮かんだのは数万円もするイヤホンかもしれませんが、そこまでお金をかけなくても問題ありません。
ASMR用に作成したイヤホン「E500」は、なんと3000円以下で買うことができちゃいます。
ほかにも睡眠の時にピッタリでコスパのいいイヤホンを「【最強のコスパ】ASMR用おすすめイヤホン5選 - メエオタ」で紹介しています。
環境を整えよう
ASMRを楽しむには周りの環境や自分の状態なども考える必要があります。
気をはってしまった方もいると思いますが、そんなに深く考える必要はありません。
はじめの頃は先ほど話した「イヤホン」と「耳の中の湿気をとるための綿棒」だけで十分です。
ここからASMRが好きになり、もっともっと気持ちよくなりたいのであれば、周りの環境を整えるようにしていきましょう。
「じゃあ、どうすればいいの?」と感じたのであれば⇩の記事にまとめていますのでどうぞ。
最後に
ASMRがもっと流行ってくれることを願っています。
追記:ASMRなしでは寝られない体になってしまった。
ほんでは